ポートランドのヒップホップ・シーン

ポートランドのヒップホップアーティスト、ショーケース、ショップ情報

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最近注目のヒップホップアーティスト「アミーネAminé」はポートランド出身ですが、ポートランドのヒップホップシーンについては、まだあまり知られていないといっていいでしょう。その歴史と今現在のシーンについてのまとめです。

ポートランドのヒップホップ・ヒストリー

ポートランドにおけるヒップホップの歩みを語る際に、このコミュニティが差別と排除の風潮にさらされてきた歴史に触れずに語ることはできません。ヒップホップのアーティスト、ファンやジャーナリスト、プロモーター、特にオールドスクールの立役者たちは、多数のクラブやべニューの閉鎖を目の当たりにしてきました。ポートランドは他の同規模の米国の都市とくらべて人種的多様性が少ないという背景に上乗せするように、ヒップホップのコミュニティには逆風の強い環境にさらされてきました。ここ数年間で、Crown Roomをはじめとする4軒のクラブが閉店しています。

なかでも、2014年に人気ジャズクラブBluemonkが閉鎖になった事件は不名誉な出来事として人々の記憶に残っています。当時、ポートランドの警察当局はヒップホップやラップのショーの取り締まりのターゲットにしていました。2014年、BluemonkでのLuck One (現Hanif), Mikey Vegaz とバトルラップ・チャンピオンIllmaculate をヘッドライナーとしたイベント開催中に、数十人に及ぶ市警察ギャング取り締まり部隊員が出動、クラブ前の道路を閉鎖し、イベントが中断される事態となりました。警察当局はクラブの地下階に定員を超えた人数が集まっているということを、取り締まりの理由としました。ショーのヘッドライナーのIllmaculateは、このような警察の動きに抗議して舞台に登場せずにクラブを去り、「ブラックカルチャーやマイノリティーの集まりに対する露骨な攻撃が許される限り、この街では演奏しない」とのツイッターで声明を出しました。Bluemonkはこの事件の数週間後に閉鎖となりました。

今日、ポートランドのヒップホップ・コミュニティは当局との関係は改善されてきています。2015年にはコミュニティとの関係を強めることを目標に当時のチャーリー・ヘイルズ市長が10月15日を「ポートランド・ヒップホップの日Portland Hip-hop Day」に制定しました。

ポートランドのヒップホップショーケース

ここ数年で、定例のヒップホップ・ショーケースが誕生してきています。以下はその一例です。

  • The Thesisは、元ラッパーで雑誌We Out Here Magazine (WOHM)の編集者Mac Smiffがオーガナイズするアマチュア・ショーケース。2014年に始まり、毎月第一木曜日にKelly’s Olympianを会場に開催。
  • 2016年、故エムシーStarChileがエムシーのショーケース Mic Check を開始。現在はDJ Klyphをホストとして、毎月最終木曜日にWhite Eagle で開催されます。ヒップホップの著名メディアチームTeam Backpackにも支持されています。
  • 定例のYGB (Young Gifted & Brown)ダンスパーティはLamar LeRoyをDJとして、ポジティブなバイブで知られています。

ポートランドのヒップホップ・アーティスト

Vursatyl (of Lifesavas), Libretto, HanifやCool Nutztといったヒップホップのベテラン達もまだ時々マイクをとっていますが、オールドスクールの築いた基礎の上に、新人のパフォーマーたちがたくさん登場してきています。新世代のパフォーマーたちはソーシャルメディアを使いこなして、ヒップホップ・シーンを盛り上げています。ヒップホップのリーダーたちMic Capes, Glenn WacoRasheed JamalResistanceクルーを結成。社会問題を扱った歌詞や高いラップスキルが評判で、コミュニティづくりにも長けていることで知られています。

アミーネの大ヒットシングル「Caroline」によってポートランドのヒップホップが全米的に知られるようになりました。2016年11月には全米放映のレイトナイトショーに出演。ポートランドのネオ・ソウルシンガーBlossomとラッパーThe Last Artful, Dodgrをバックアップとして登場しました。女性エムシーKarma Rivera, Vytell, Fritzwaにも要注目です。新入りのWynneは、2017年3月Mic Checkでのフリースタイルバトルcypherで聴衆の注目をあつめました。ポートランドはまた、Vinnie Dewayne, アミーネを崇拝するFountaine and ダイナミックなMyke Boganなど、多様なスタイルをもったアーティストが集まっています。

ポートランドのヒップホップ・ショップ

ヒップホップのショーに行く他にも、ポートランドのヒップホップカルチャーに欠かせないローカルショップをチェックするのも欠かせません。これらのショップはイベントの会場となったり、ファーストサーズデイにはヒップホップアートの展示ギャラリーとして使われたり、ローカルのアーティストをサポートしています。オールドタウンのコンパウンドギャラリーCompound GalleryではJordan Carterのサルのロゴ入りブランドBro Plutoを扱っています。(同ブランドはポートランドでのショー会場でポップアップとして物販もしています。)ローカルのブランドを販売するほかにも、コンパウンドギャラリーは、近隣のアッパープレイグラウンドUpper PlaygroundデッドストックコーヒーDeadstock Coffeeと共に、ファーストサーズデイにはオルタナティブなギャラリーとしてアートウォークに参加しています。ダウンタウンのブティック兼バーバーショップBy the Collectiveはアルバムリリースパーティの会場になったりもします。Mic Capes, Vinnie Dewayne, Calvin Valentineといったアーティストの商品も販売しています。

ポートランドのヒップホップ・メディア

ローカルのイベントや新しいアーティストの情報はWOHMをフォロー。ポートランドのヒップホップ・ライフスタイルに関するオンラインメディアです。Vortexは音楽情報フリーマガジンで、ヒップホップシーンの人々のインタビューなど深い記事が充実しています。地元レーベルのEYRSTは質の高いイベントをホストするとともにポートランドの才能あふれるアーティストやプロデューサーをサポートしています。XRAY FMのSoul Food, DJ Klyphの Welcome to the Neighborhood といったラジオショーの他、 DJ VerbzによるCrate Diggersポッドキャストなどのヒップホップ番組も。またイベントプロダクション会社のChapter Magはポートランドのヒップホップカルチャーイベントをホストします。Willamette WeekPortland Monthlyといった情報誌もヒップホップについての記事を数多く扱い、Portland MercuryのコラムSneaker Waveはポートランドのヒップホップシーンの最新情報を提供しています。

ポートランドのヒップホップの現在

多くのヒップホップ・クラブの閉鎖に伴い、ヒップホップイベントはバーなどの思いがけない場所で開催されるようになっています。シーンを取り巻く状況も変わってきており、ポートランドのアーティストたちは全米ブレイクまでもう少しといった盛り上がりもみせています。ポートランドのヒップホップのクリエイティブ達が見出しを飾り、全米で新たなファンを掘り起こし、新しい時代の始まりです。ポートランドでヒップホップのファンでいることがエキサイティングな時代になりました。