ポートランドのジン(Zine)

zine-this-oneインデペンデント・パブリッシング・リソースセンターの出版パーティーに集まる人たち

ートランドほどジンが充実している街は、他にないでしょう。ジン関係団体がたくさんあり、独立精神とDIY精神に溢れるジン作者がたくさん住んでいます。

Molly Woodstock

個人出版カルチャーに浸ろう。

ジン(Zine)とは、個人が作る小冊子のこと。多くはコピー機を使って手作り出版されています。少部数を低予算で作れるジンは、さまざまな形やサイズで出版でき、コンテンツも自由。たとえば「不条理主義」のコミック、ビーガンのレシピ、政治的マニフェスト、自転車整備のヒントなど、一般の書籍ではなかなか見つけることのできない内容やテーマがジンとなって次々に出版されています。ポートランドほどジンが充実している街は、他にないでしょう。世界最大の独立書店と言われるパウエルズ書店Powell’s City of Booksを有する読書好きな街として知られており、インデペンデント・パブリッシング・リソースセンターIndependent Publishing Resource Center(IPRC)、ポートランド・ジン・シンポジウムPortland Zine Symposium等、ジン関係団体があり、独立精神とDIY精神に溢れるジン作者がたくさん住んでいます。ここではポートランドのジン・カルチャーについてご紹介します。

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ポートランドでジンを入手

インデペンデント・パブリッシング・リソースセンター Independent Publishing Resource Center

1998年の設立以来、 インデペンデント・パブリッシング・リソースセンターIndependent Publishing Resource Center(IPRC)では27,000を超える人々が、ジンやコミック、アート、グラフィックブック等の本を出版しています。 IPRCは出版社として機能するのではなく、スクリーン印刷、装丁、活版印刷などのジン出版のためのツールを提供する作業所であり、ワークショップも開催しています。同センターでは1年の認定プログラムも提供、ポートランドの一流作家や漫画家のガイダンスのもと、執筆、デザイン、出版などを教えています。

同センターでは6,000冊を超えるジンやコミック等の資料を所蔵、ジン作者にとっては古代エジプトの巨大図書館「アレクサンドリア図書館」のような存在で、 インスピレーションの元ともなっています。Division St.にあるスタジオ外に設置された「ジン・マシン」では、1ドルで印刷仕立てのミニ・ジンを手に入れることもできます。

ポートランド・ジン・シンポジウム Portland Zine Symposium

ローカル・ジン世界の有名人アレックス・ウレック、ニコールJ.ジョージズ、ジョー・ビール、エレノア・ホイットニー、テレーサ・モウルター、ジリアン・ベックらが2001年に創立したポートランド・ジン・シンポジウムPortland Zine Symposium。毎年7月に開催され、世界中から150人以上のジン製作者が集まります。これは米国最大のジン・イベントのひとつで、参加は無料。同シンポジウムでは ポッドキャストや個人出版、社会のマイノリティのサポートについてのワークショップも提供しています。

リーディング・フレンジーReading Frenzy

ギャラリー、イベント・スペース、そして本屋でもある、この「独立系出版の殿堂」は1994年にサウスイーストにオープンし、現在はヒップなN Mississippi Ave.でアート感覚のコミックやジン、書籍等を販売する一方、グラフィックデザインやタイポグラフィー、ペーパークラフトなどの展示も行っています。リーディング・フレンジーReading Frenzy独自の出版社としてショー&テル・プレスShow & Tell Pressも運営しており、ショーン・テジャラッチのクラップ・ハウンドCrap Houndなど根強いファンのいるタイトルを出版しています。

マイクロコズム出版Microcosm Publishing

1996年に創立されたマイクロコズムMicrocosmは、珍しいジン、書籍、バッジやワッペン、ポスター、ビデオ等を幅広く製作販売。ことにカラフルな表紙と、ジンと書籍を融合したデザインで知られ、ここ10年間でジンに対するメインストリームからの注目を高めたとして評価されています。N Williams Ave.にある店舗では、 フェミニズム、自転車、DIYなど様々なテーマのタイトルを見つけることができます。

ポートランドについてのジン

ジンスターによるポートランド・ガイドZinester’s Guide to Portland

ポートランドに住む&旅する 低・ゼロ予算ガイドA Low/No Budget Guide to Living In & Visiting Portland, OR」という副題の付いたこの小さなジンは、もとはポートランド・ジン・シンポジウムPortland Zine Symposiumのために簡易な付録として作ったもの。それが15年の間に5版を重ね、徐々にページ数も増え、2006年以来連続してパウエルズ・ブックスPowell’s Books’ のトップ20ベストセラーにランクインしています。幅広い範囲の題材をとりあげており、地元ジン製作者達によるイラストが満載、おすすめの公園、映画館、レコードショップ、ピザ屋、見逃せないスポットなど、地元人ならではの、お薦め情報がいっぱいの冊子です。

これがポートランドだThis is portland

「ポートランドは最高の都市だ」という噂を聞いてポートランドに移ってきたアレキサンダー・バレットは、その噂の根拠を探ろうと、ポートランドの良さを一つひとつ記録することにしました。ユーモアあふれるこれがポートランドだThis is Portlandは、3ドルで見られる映画館や、庭にいる鶏(ポートランドでは庭で鶏や山羊を飼っている家がたくさんある)、タトゥーのこと、テイター・トッツ(ポテトフライ)など、ポートランドをポートランドたらしめている要素について短いエッセイで綴っています。こちらもパウエルズ書店のベストセラーで、ポートランド入門書としてお薦めの一冊です。

揺るぎない夏Invincible Summer

ポートランド・ジン・シンポジウムPortland Zine Symposiumの共同創立者で、IPRCの講師であるニコールJ.ジョージズは、揺るぎない夏Invincible Summer第1巻を出版した2000年以来、自身の人生をジンの形で記録しています。この自伝的コミックでは、鶏の飼育、ビーガン・ベイキング、アートの制作など、日記風に綴ったものを2つの選集としてまとめています。また、ジョージズはポートランドの高齢者のドキュメンタリー・ジン「事実のままに話せ!Tell It Like It Tiz!や、グラフィック自伝本「ドクター・ローラ電話相談Calling Dr. Lauraの製作者でもあります。

オレゴン歴史コミックOregon History Comics

ポートランド在住の報道記者サラ・ミークは、2010年、地元のNPOノウ・ユア・シティKnow Your Cityと提携して、ポートランドの知られざる歴史をたぐった10冊のジン・コミック・シリーズを作りました。ブラック・パンサー、女性参政権、フリーウェイの撤廃、失われた都市などのテーマがあり、1冊ずつ異なるオレゴンのアーチストによる魅力的なイラストをフィーチャーしています。10冊のジンセットは、ボックスセットboxed setで販売。特別版の Tom McCall & the Vortex (有名な元オレゴン州知事の活動を描いたもの)のPDF版は無料ダウンロードができます。

ビッチ: ポップカルチャーに対するフェミニストの対応Bitch: Feminist Response to Pop Culture

Oregon History Comicsを作ったサラ・ミークは、フェミニスト雑誌ビッチメディアBitch Mediaのオンライン編集者も務めています。1996年、車のトランクからスタートしたビッチメディアは、今では 全米に1万人以上の購読者と20万人のFacebook ファンがいるフェミニスト・メディアへと成長、マスコミ、政治、メインストリーム文化についての思慮に富んだ解説をポートランドから発信しています。

クラップ・ハウンドCrap Hound

1990年代、ポートランド在住のショーン・テジャラッチはビンテージのカタログや広告、古い書籍などを丁寧に集め、高コントラスト画像による言わばローファイのクリップアートを制作しました。作者いわく「議論の切っ掛けを作ってくれる絵本」であるクラップ・ハウンドCrap Hound は、毎号「Death, Phones & Scissors(死と電話とハサミ)」や「Superstition(迷信)」などを題材に、意味論、記号論、文化的な理想について探ります。希少ジンでもあり、ジン製作者やタトゥーアーティスト、グラフィックデザイナー達から、インスピレーションの元として熱心に支持されています。2011年以降、クラップ・ハウンドの出版は止まっていますが、プロジェクトは継続されており、関連書籍のA is for ZebraがShow & Tell Pressから出版されています。

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